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思考の最果て
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白銀(WriteIDEA)

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週刊 WriteIDEA -2018.11.16-
 <今週の白銀>
 『デラシネ』クリアしたので今回の娯楽万歳コーナーで取り上げようと思います。詳しい感想などはそちらにて。
 PS4版『ARK』のDLC第三弾が配信されるような話が出ていましたが、配信されず、ちょっとした炎上みたいなことになっています。ゲームのシステム上、公式サーバーでプレイする人たちにとっては日本のPS4版だけDLCが配信されず、新しいマップに入るのが遅れるというのは割と死活問題なのですよね。
 元々はPCで配信されていたゲームですから、PC版が先行配信されるのはまだいいとしても、コンシューマ機版であるPS4版の、日本版だけがDLCが配信されていない、海外のPS4版はDLCマップが配信されていて遊べている、というのは不満や怒る人が出ても仕方のない状況ではあります。
 そもそも、『ARK』というゲームはシステムが分かってきて、それが好きな人にはかなり刺さるという尖ったゲームではあるのですが、PS4の日本語版は取扱説明書のようなものもなく、システムのチュートリアルもほぼ皆無なので操作方法や遊び方に慣れるのも一苦労というか、不親切極まりない仕様なのでローカライズの段階とかでもう少し注釈を入れられなかったのかと思うところは山ほどあるんですよね。
 私の場合はPS4proを買ったことで初期型PS4が一台余る形になったため、これをサーバー化して身内だけで遊んでたりするので公式サーバーで遊んでいる人たちほどの不満や怒りはなかったりするんですが、それはそれとしてDLCに関する情報発信の遅さや公式サイトの更新頻度にはあまり良い印象は持てませんね。
 
 
 
 
 <創作の現況>
 9章進捗25%ほど……
 
 
 <IDEA Pickup>
 今回は娯楽万歳のコーナーが思いのほか長くなってしまったので休載にします。
 
 
 <娯楽万歳>
 今回紹介するのは前回冒頭で話題にも出したPSVR専用ソフト『Deracine(デラシネ)』です。
 製作はフロムソフトウェア。遊ぶためにはPSVRの他にPSMoveが2つ必須になります。
 
 大まかなあらすじとしては、個性ある6人の少年少女と年老いた校長が暮らす小さな寄宿学校を舞台に、プレイヤーは「妖精さん」として彼ら彼女らに関わっていく、というもの。
 妖精は止まった時の中に住まう存在で、思い出として残っている幻影から情報や声を得たり、命あるものから生命の時間を吸い取り、与えることができるという能力を持ちます。
 ゲームとしてはアドベンチャー形式で、戦闘のようなものは存在せず、展開される物語を読み進めていくような形となります。システム面では、PSVRを装着し、両手に持ったPSMoveがそれぞれ右手と左手となり、寄宿学校の中を移動して、色んな角度から見たり、オブジェクトを掴んだり、移動させたりすることで物語を進めていきます。
 移動に関しては、PSVRで視線を向けた先に移動ポイントがあればマーカーが表示され、PSMoveのボタンを押すことで瞬間的にプレイヤーの立ち位置が移動する、定点移動タイプとなっています。自由に歩き回ることが出来ないかわりに、プレイヤーの位置が基本的に固定される(PSVRによる多少の視点移動はできる)タイプのため、3D酔いは発生し難くなっています。また、この移動方式も、移動ポイントを憶えるとスムーズに素早く移動できるようになります。
 
 止まった時の中に住む妖精、という設定から、プレイヤーが動き回ることができる世界は時間が停止しています。登場人物たちの肉体は停止しており、そこにプレイヤーが直接干渉することはできません。しかし、周囲の小物を手にとって調べたり、持って行ったり、別の場所で使用したりといったことは可能で、それによって「妖精がいなければ起こり得ない事象」を発生させていくことで物語が進んで行きます。
 雰囲気や空気感はとてもノスタルジックで、プレイヤーが動き回ることになる時間の停止した世界はセピア調の色彩となり、プレイヤーが干渉した際に僅かに時間が動く際には色彩が鮮明になるという演出もあります。
 ADVとしては基本的には一本道のシナリオとなっていて、プレイヤーが手に取れるアイテムやテキスト、仕掛けなどもそう多いわけではなく、必要最低限+αといったところ。その仕掛けや謎解きのような要素も、決して難しいものではなく、良く見回し観察することで直ぐに気付けるように出来ています。
 『ダークソウル』や『ブラッドボーン』のように、世界観はプレイヤーが想像や推測で補っていく余地が多めに取られている印象で、アイテムのフレーバーテキストや、手紙、本といった文章の記述されたものから読み解いていく面白さもあります。
 じっくりと見て回ってキャラクターたちの声を聞いて行っても、仕掛けが分からず躓くことがなければ6時間もあればエンディングまで辿り着けるぐらいのボリュームになっていると思います。とはいえ、PSVRを装着してプレイしているためか、短かった、という印象は私は抱きませんでした。
 程好くそのストーリーに浸ることが出来たので、PSVRのゲームとしては良作だと思います。
 とはいえ、ストーリー含めた内容自体はそこまで複雑ではありませんし、見て回ったり手に取ったりといったVRで出来る範囲もそこまで広くはありません。もっと色々できてもいいのに、という部分は確かにあります。内容の感じ方も人それぞれなので、気に入る気に入らないははっきり分かれそうな作品でもあると思います。
 まぁ、フロムの作品ですし刺さる刺さらないははっきり出る気がします。
 
 さて、ここからの感想と考察は大いにネタバレをするので反転しておきます。
 未プレイやこれからプレイする予定のある人は注意してください。

 
 開始当初から、ノスタルジックな中にもどこか不穏な空気が漂っているように感じていたのですが、それは気のせいではありませんでした。
 最初に違和感を抱いたのはハーブシチューを食べている幻影の中にユーリヤの姿がなく、食事の思い出が5人になっていたところでした。ユーリヤは操作チュートリアルの終了後に、一番最初に妖精の存在を確信する存在として描かれていて、他の子供たちにも妖精の存在を伝えた存在としてストーリーの起点になっていました。その関係もあってか、他の子供たちからもやや浮いたような、夢見がちな少女といった雰囲気を漂わせていたのですが、同時に何かズレや違和感のある存在になっていました。
 「もしかしてユーリヤは死んでいる?」ということに私が気付いたのは、演奏会で彼女だけがステージ上にいながらも子供たちの輪の中からは一歩後ろにいて、楽器を使うでも、歌うでもなく、ただ見ているだけだった場面でした。その直後の子供達の言霊の中にも「ユーリヤも歌ってくれたら良かったのに」という内容のものがあり、ユーリヤに歌えない理由があることが示唆されています。彼女が生きていると錯覚している見方をすると、「喉の調子が悪いなどの体調面で歌えなかった」という解釈もできてしまうわけですが、演奏会前にステージ前に立つユーリヤからは言霊が得られることもあり、喋れない状態にあるわけではないことが分かります。
 それから間もなく、医務室に入れるようになり、ユーリヤの死体を目にすることができるようになるわけですが、そうなると今度は、肉体を持って停止しているように見えるユーリヤの存在は一体何なのかという疑問が出てきます。
 ここで、ゲーム中に見ることができる妖精に関する本などの中にあるテキストから「妖精は幽霊を見ることができる」という情報を憶えておくと、ユーリヤは幽霊となって寄宿学校にいてみんなを見ている、ハーブシチューのいたずらを使って、死亡したユーリヤが生前言っていた妖精の存在を確かめようとする子供たち、という構図が見えてきます。
 演奏会に参加する際の仕掛けの中で、ネズミのヌーを生き返らせたことで妖精の力を目の当たりにした子供たちは、妖精の力でユーリヤも生き返らせてもらおうと考えて寄宿学校を抜け出し、外の世界へと飛び出します。しかし、外の世界には生者の命を見境無く奪う悪意のある妖精が存在していて、ルーリンツ以外の全員が死んでしまう事態となります。
 寄宿学校から抜け出そうとする子供たちの幻影を追うにつれて今まで薄っすらと流れていた不穏さは増していき、ニルスの身に着けていたものだけが残されているところで不穏さは跳ね上がります。山小屋に辿り着いた時、止まっているはずの時間の中でその周囲をうろつく亡霊のような存在を見て、山小屋のおじいさんの言霊などから、それが本来の妖精の姿=プレイヤーは例外的な妖精なのだと気付くことになります。
 そこから先は「命の時間を奪い、過去へと向かう」という妖精の力を駆使し、悲劇を回避するための過去改変の模索が始まります。
 ユーリヤを蘇らせるために寄宿学校の外へユーリヤの命に見合う大きさの動物を探しに行こうとする子供たちの行動を阻害するために奔走するものの、鍵を捨てても、裏庭の川に現れたマルガレータが変容した妖精の指輪を死亡しているユーリヤに与えても、上手く行かず、行き着く結論は「そもそもプレイヤーが妖精となるべきではなかった」というものでした。
 暗く靄に包まれたチュートリアルで声に導かれて触れた杖は、実はユーリヤが手にしていたもので、妖精という存在を成立させる指輪の生成と引き換えにユーリヤを死亡させていたのがプレイヤーであったという事実に行き着きます。この時のユーリヤは体が悪く、寝たきりの状態となっていて、妖精に自分の時間をあげようとしていたのですが、その結果が後の全てを引き起こすことになってしまうわけです。
 そこに辿り着くまでに本から得られる「自分以外の時間を生きようとすれば変質してしまう」「誰しも自分以外の時間を生きることはできない」「自分の時間だけが特別」などの記述がなくとも、ここでどうすればいいのかは直ぐに気付けるでしょう。
 時間を移動し過去を改変したりする作品における、ある種王道的な「一番最初に戻って最初の行動を変える」という結末ではありますが、だからこその安心感というか、納得感があると思います。
 
 そして『デラシネ』とは「根無し草」という意味を持つ言葉であり、裏庭にあるアレクシスの墓にある「根無し草のように消えた」という記述、ストーリー最終盤の靄の消えた鮮明なチュートリアルステージで校長の手にある「アレクシスに会いたい」というユーリヤの手紙、左手に痣のあるアレクシスの写真と左手に痣のあるプレイヤー、というのもあわせると、プレイヤーはアレクシスが妖精になった存在だったと推測することができます。
 妖精という存在そのものについてや、どういう経緯で誕生したものなのかについては断片的にしか語られず、ローアンという学園都市で研究されていたものらしいこと、金枝の杖を触媒に命の時間を奪い過去に向かおうとするという本能を持つこと、何らかの方法で人間が妖精になる手法があったらしいこと、妖精により命を奪われたと思われる被害や事件が世界中で多発しているらしいことが読み取れる程度です。
 寄宿学校の校長と妻のマルガレータはローアンの出身か研究の関係者らしく、寄宿学校で数人の子供を集めて暮らしていたのも妖精の研究のためだったようです。ただ、マルガレータは研究だけでなく子供たちのことも思ってはいたようで、校長の「赤子(=自分とマルガレータの息子のアレクシス。生まれつき長く生きられない病にかかっていたらしい)を妖精にしたらどうなるのか」という考えには賛同できず、自分が代わりに妖精になろうと川に身を投げたようです。
 しかし、妖精が命の時間奪おうとするのは、人が誰しも過去に縛られた存在であるかららしく、マルガレータも悪い妖精として嵐の夜に裏庭に現れるようになってしまったようです。嵐の夜にマルガレータの持つ指輪の光を見てしまったロージャは興味本位から裏庭に向かい、恐らくマルガレータに足を掴まれるなどして中々治らない傷を負ってしまったということなのでしょう。
 プレイヤーが例外的に子供達の命を奪ったりせずに願いを聞いたり優しく接するような存在になっているのも、縛られたり囚われたりするような過去が存在しない赤子が妖精になったものだったことと、他の悪意ある妖精のように自分の持ち物としての金枝の杖を持っていなかったからなのでしょう。
 この辺りの導入部のゲームとシナリオの意味合いの重ね方がとても自然で、「ゲームとして何をしていけばいいのか分からないプレイヤー」と「本来の妖精の性質に縛られず、赤子だった故か右も左も分からないアレクシスの妖精」というポイントが絶妙にマッチしています。結果として、「プレイヤーはそこにいた子供たちの言霊や声を聞いて、自分でその輪の中に入っていく、招かれていく」わけですが、やがて「妖精である自分には何ができるのか、子供たちを救うためにはどうしたらいいのか」を自分で考えて模索していくことになり、ある種の自我が生まれます。
 結果的に、自分の存在そのものを否定し、妖精たる自分が子供たちの輪の中にいたことさえも全て無かったことにしてしまうわけですが、金枝の杖を触媒に一度ユーリヤから奪った命を彼女に返すことで、ユーリヤは妖精の存在を確信するに至り、「妖精はいた」ということを残し、消えて行く妖精の視点てスタッフロールを眺め物語は幕を閉じます。

 
 ネタバレここまで。
 
 やや物足りなさというか、もう少し見ていたかった、遊びたかった、感はあるものの、ここまであれこれ考えたり書いたりするぐらいの余韻は得られました。
 値段も3000円ぐらいですし、プレイ環境がある人は触れてみても良いのではないでしょうか。
 
 
 <連載>
 短期集中連載企画
 『魔導戦騎 救国のアルザード アウトサイド 三獣士』
 #双炎の猛将3
 
 
 敵に砲撃部隊がいるのかと一瞬考えたが、それならば三番隊と砲撃戦をしていたはずだ。ならば、三番隊の武装を奪った敵が残弾で砲撃していると見るべきだろう。
 味方のいる場所に砲撃を続けるとも思えない。
「常に陣形を意識しろ! 隊列を乱すな!」
 牽制にしても、中近距離での撃ち合いに持ち込んでしまえば砲撃も出来なくなるはずだ。
「敵影捕捉! 数は二!」
 部下が声をあげ、突撃銃を構え発砲する。
「進路は維持! いつもの要領でやれ! 数で勝っているからと油断するな!」
 バフメドも声を張り上げ、自身にも気合を入れる。
 相手が精鋭と名高い獅子隊であるなら、単機での戦闘能力はこちらが劣るということだ。一瞬でも一対一に持ち込まれたらやられると考えた方がいい。
 三番隊は最初から囮ではあったが、それでもここまで短時間に全滅するのは想定外だった。撤退を指示する猶予さえなかった。
 とはいえ、バフメドも他国には《フレイムゴート》等と呼ばれている身だ。アンジアでも一二を争う精強な部隊を率いているという自負もある。
 敵が隠れた建物の周囲へと火炎放射を行い、圧力をかける。中距離で戦うならば炎が撒き散らされた距離で戦うことになる。隠れていたとしても、魔動機兵だけでなく、操縦者にもじわじわとダメージを与えているはずだ。ましてや、アルフレイン王国はここを突破されるわけにはいかない。いつまでも隠れてはいられまい。
 燃え広がる炎が辺りを赤く染め上げ、照らす。見通しを悪くする煙を裂くように炎を更に撒き散らした。
 散発的に銃弾が飛んでくるものの、牽制程度にしかなっていない。炎を直接浴びるのを避けるためか、建物の陰を移動しながら射撃をしている。狙いの精確なものがいくつか混じっているが、四方を囲む部下の《バルジス》は大きめの盾を装備した撃ち合いに特化させ、守りに重きを置かせていた。盾を機体前面に構え、その脇から突撃銃で応戦射撃を行う。
 急所を守りながら、互いの背中や側面を補うように陣形を組み、進軍を続ける。この行軍を阻むにはリスクを覚悟で身を晒し、戦うしかないはずだ。
 と、突然側面から銃撃を受けた。
 陣形は崩さず警戒を強め、バフメドの左側を守る二機が応戦射撃を行う。新手は建物の陰に逃げ込んだ。
 直後、砲撃が近くに着弾した。爆発と衝撃、巻き起こる土煙と爆煙に炎と煙が一瞬掻き消される。
「む……!」
 味方が交戦しているかもしれない範囲に砲撃を行うとは。
 咄嗟に火炎放射で爆煙を引き裂くように薙ぎ払う。
 側面と、進行方向から合計三機の《アルフ・セル》が姿を現し、銃撃音が響き渡る。
 バフメドの左にいた《バルジス》に攻撃が集中していた。側面からの敵に意識を取られ過ぎて、前方への防御が薄くなっていたところに銃弾が突き刺さる。脇腹に何発かが命中し、膝をついて倒れ込んだ。
「カバー!」
 前方から突出してきた《アルフ・セル》に火炎放射を見舞う。左右の《バルジス》も突撃銃を連射する。
 寸でのところで足を止めた《フレイムゴート》が腕で胴体を庇いながら後退し、物陰に身を隠した。回り込もうと動く別の《アルフ・セル》から仲間を守るように部下の《バルジス》たちが盾を構えて立ち位置を変えていく。
 誘い出すように、盾と銃を別々の《アルフ・セル》に向けるものの、敵もそう簡単には乗ってこない。
 バフメドは左肩に装備したキャノン砲を側面から現れた新手の《アルフ・セル》へ向けて放つ。三機の《アルフ・セル》の中で、その一機だけが僅かに動きが早い。キャノン砲の搭載弾薬数は少なく、火炎放射を主兵装とする《バルジカス・デュアルファイア》には貴重な即効性のある武装だが、接近されるのは危険だと判断した。
 敵も味方も互いに互いをカバーし合いながら動くために決定打がない。だが、それならそれでバフメドは速度を落とさずに進軍を続け、ベルナリアを突破するだけだ。時間をかければかけるほど、火炎放射も効いてくる。
「隊長、そちらに三機、援護に向かわせます!」
「二番隊は三機で大丈夫か?」
「足止めに徹すればどうにか!」
 部下からの通信が入る。《守護獅子》相手に三機で大丈夫かと考えをめぐらせるが、地形によっては六機ではむしろ身動きが取り辛いこともあるかもしれない。
 ならばこちらに数を集中させて押し切ってしまう方が得策か。
 そう考えていたところで、敵が大きく動いた。
 三方向から攻撃してくるが、盾を構えて互いの死角を守り合っている以上、脅威ではない。《アルフ・セル》が手榴弾を投げ、流れ弾によって空中で爆発した。火炎放射でそちらを薙ぎ払う。突撃銃を乱射しながら接近してくる《アルフ・セル》に《バルジス》の銃撃が集中する。別方向からの援護射撃が届くも、急所は盾で隠れている。《バルジス》たちに何発か当たったが、戦闘に支障は無い。
「隊長!」
 背面からの部下の声に、振り返りながら火炎を放つ。
 迫って来ていた《アルフ・セル》が横へ逸れるようにして炎をかわした。
 攻撃を集中させた前方の《アルフ・セル》の突撃銃と足首に弾丸が突き刺さり、転倒する。攻撃が集中するところだったが、その《アルフ・セル》は両手で地面を突き飛ばすようにして機体の倒れる場所を逸らした。
「もらった!」
 バフメドは火炎放射器を向けた。この距離なら燃焼材をまともに浴びせられる。
 だが、炎が吐き出されると同時にその《アルフ・セル》の前にどこからか飛んで来た盾が突き刺さった。放たれた炎は盾で引き裂かれ、《アルフ・セル》を避けていく。
「た、隊長!」
 横からの声に視線を向ける。
 突撃銃を乱射しながら、一機の《アルフ・セル》が異常な加速で突っ込んできていた。バフメドの側面をカバーしていた《バルジス》の銃が被弾し、破壊される。《バルジス》は咄嗟に盾を突き出し、押し返そうとする。
 その瞬間、バフメドは異様な光景を見た。
 《アルフ・セル》は速度を落とすことなく、その身長ほどの高さに達する跳躍を見せたのだ。突き出された盾に足をかけ、更に跳ぼうとしていた。魔動機兵の重量を支え切れるはずもなく、《バルジス》の両腕がもげる。その衝撃に倒れ込もうとする《バルジス》の頭を蹴飛ばして、《アルフ・セル》がバフメドに迫る。
「《バーサーカー》か!」
 咄嗟に、バフメドは機体を下がらせようとした。
 空中で突撃銃を投げ捨てた《アルフ・セル》が、大型のアサルトソードを両手で掴む。空中で上半身を捻り、振り被りながら着地した《アルフ・セル》の脚部装甲の一部が砕け散るのが見えた。それだけではない。着地姿勢になっていないのにも関わらず、その《アルフ・セル》は水平にアサルトソードを振り回した。
 回避は間に合ったが、左手に抱えていた火炎放射器を砕かれ、バフメドの背後を守っていた《バルジス》の背中にアサルトソードが叩き込まれる。
 更に一歩踏み込んで、アサルトソードが振るわれる。
 その姿はまさに《バーサーカー》と呼ぶに相応しかった。
 一体あの《アルフ・セル》の全身にはどれだけの負荷がかかっているのか。バフメドの目からも、関節が火花を散らし、動く度に装甲片が散っているのが見えた。
 後退しながらキャノン砲を撃つ。
 《バーサーカー》は肉厚のアサルトソードを目の前に突き立てて盾にしていた。アサルトソードが砕けたところへ、火炎放射器を向ける。
「ぬぐ……!」
 背面に弾丸が突き刺さった。《アルフ・セル》のいずれかの援護射撃だろうか。左側の燃料タンクが爆発し、左肩が吹き飛んだ。
 それでも、右手の火炎放射器はまだ使える。その銃口を《バーサーカー》に向ける。
 先ほどアサルトソードを背に受け、倒れていた《バルジス》が起き上がろうとしていた。だが、あろうことか《バーサーカー》はその《バルジス》の腕を掴み、強引に引き起こし、それをバフメド目掛けて投げ飛ばした。《バーサーカー》の右腕が千切れ、《バルジス》が宙を舞う。
 片手で重量型でもある《バルジス》を投げるなど、一体どれだけの出力があれば出来るというのか。
「馬鹿な!」
 部下を盾にされ、火炎放射を躊躇した。
 《バルジス》は目の前の地面に叩き付けられ、四肢があらぬ方向に曲がり、動かなくなった。右肩のキャノン砲を向ければ、《バーサーカー》は近くに落ちていた盾を投げつけてきていた。砲撃は投げられた盾に命中し、その方向を変えて吹き飛んでいく。その向こうで《バーサーカー》が立ち上がり、踏み込んでくるのが見えた。
 砲撃の硬直で一瞬動きが遅れてしまう。投げ飛ばされた《バルジス》の脇腹を踏み潰して、《バーサーカー》が飛び掛ってくる。
 残っている左手で、殴り掛かってきた。後退が間一髪で間に合い、《バーサーカー》の拳は右肩のキャノン砲を殴り付け歪ませるに留まった。
 《バーサーカー》の左膝が砕けた。倒れそうになった機体を、手首から先の無い左腕で支える。
 気付けば、部下の《バルジス》は一機も残っていなかった。《バーサーカー》に意識を取られている間に、他の《アルフ・セル》たちに仕留められていたようだ。
「く……撤退する!」
 全く気付けなかった。いや、《バーサーカー》の存在感と迫力に呑まれ、それ以外が見えなくなっていた。しかし、他に意識を向けていたら《バーサーカー》の攻撃から逃れられただろうか。自壊すら厭わぬなりふり構わぬ戦い方、鬼気迫るその荒々しさと、その中に感じられる確かな殺気に、恐怖さえ覚える。
 あれほど陣形を維持しろと言っていたバフメド自身でさえ、その余裕を失っていたのだ。否、自分の立ち位置を維持していたらやられていた。暴れ出した《バーサーカー》の攻撃性は通常の魔動機兵で防げるものではない。あれは正面から受け止めて良いものではなかった。
 いつの間にか、汗にまみれていた。
 増援として到着した二番隊の三機が撤退のための支援射撃を始める。それに紛れるようにして、バフメドは撤退行動に移る。
 《バーサーカー》を守るように《アルフ・セル》が割って入り、射撃戦に応じる。
 ほぼ無傷の《アルフ・セル》はいるものの、もう一機は片足に被弾しており、《バーサーカー》は見るからに戦える状態にはない。追撃はされないだろう。
 とはいえ、バフメドの機体も戦闘続行は困難だ。まともに使える武装がない今の状況で他の防衛部隊と遭遇すれば勝ち目はなく、単機で撤退するには《バルジカス・デュアルファイア》の足は遅い。支援可能な味方がいなければ撤退すらままならない。
「単機でこうも掻き回すか……」
 忌々しげに、バフメドは呟いた。
 
 
 ――つづく
 
 
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